房総半島のちょうど真ん中あたりに、高滝湖という湖があります。千葉県を南北に走る養老川の中流に位置していて、青空が広がる開放感のある場所。湖畔を心地よい風が吹き抜け、静かな時間がゆったりと流れています。
養老川に沿って南へ進むと、養老渓谷があります。周辺には観光地も多く、緑に囲まれた大自然が色濃く残っている場所です。東京からのアクセスもよく、春の新緑、秋の紅葉といった、四季を感じられるドライブコースとしても人気があります。
その養老渓谷の東側の山の中に、今回の目的地、森の墓苑があります。旅の中継地点としても利用できる立地で、気軽に足を運びたくなる公園といった存在です。今回は東京からアプローチして、ファミリーでも楽しめるドライブコースをシミュレートしてみました。
房総半島へのアクセスはアクアラインが便利。川崎から20分弱で房総半島へ。南国の気分を、都心から30分で満喫できるとは驚きです。途中のパーキングエリアは施設が充実していて、海鮮料理なども食べられるので、観光地として、いつもにぎわっています。
まず最初は、高速道路を市川鶴舞ICで降りて高滝湖を目指します。離れた位置から湖を眺めるために立ち寄ったのが、加茂運動広場に隣接し、本郷の大イチョウがある高台。
樹齢300年を超えるイチョウには鳥居が設置され、地元の人に愛され続けていることが分かります。広場になっていて、ちょっとした休憩スペースとして利用できる場所です。
高滝湖周辺は整備されていて、美術館などもあります。湖畔を眺めながら食事できる飲食店などもあり、ゆっくりと時間を過ごせることでしょう。
養老川の氾濫を防ぐために設置された人造湖ですが、周辺の緑との調和が素晴らしく、のんびりとした雰囲気があります。湖畔を眺める広場で休憩する人の姿も目立ちます。
湖の近くには、市原ぞうの国などもあって、ファミリーでも楽しめる場所です。その市原ぞうの国から約15分の場所に森の墓苑があります。
国道297号を南下して、県道148号に抜け、途中で山の中に入っていくと、小さな川沿いに道が続きます。個性的な飲食店なども並び、ドライブ気分を盛り上げてくれます。
そして、国道から外れること約8分の道のりで森の墓苑に到着です。丘に続く道を上がっていくと、事務所兼休憩施設があります。ナチュラルな平家建てで、公園の管理事務所のようです。
中には利用者の休憩スペースがあります。きれいなバリアフリーのトイレも設置されており、清潔感のある空間。窓の外の緑が、落ち着きを感じさせてくれます。
場内は丘陵地になっていて、ぐるりと一周できるような外周路がありました。元々は何もなかった場所でしたが、植物を植えて、現在のような姿になったそうです。
場内はエリアに分かれていて、外周から内側に小道が伸びています。区画は木の杭が目印で仕切られており、小さなプレートがそこに眠る人を記しています。
ペットも一緒に入ることができるので、ペットを先に埋葬して、後から自分たちが入る準備をしている人もいるそうです。
植えられている木々は、もともと地元で自生している植物たち。土地本来の自然の姿にするため、植える木々にも気をつけているという話でした。
その徹底ぶりは、木々を苗木から育てるという姿勢からも感じ取れます。開発で荒野となっていた場所でしたが、ゆっくりと従来の光景に戻していく作業が進められているのです。
自然が豊かになると、小鳥たちもやってきます。周囲には鳥の巣箱が設置され、鳥のサイズや特性に合わせて、色々なタイプが用意されていました。
大きなフクロウの巣箱も設置されていて、実際にフクロウが利用しているとも。木の実を求めて小鳥や渡鳥もやってきたり、自然を取り戻すために周辺環境まで整えているのが特徴的といえるでしょう。
木々ばかりでなく、草の種なども蒔かれていて、その光景は自然そのもの。黄色い花が特徴的の秋の七草の1つ「おみなえし」なども、人の手によって花を開いたそうです。
小道の脇に、不思議な小屋があります。これは昆虫の家と呼ばれ、小動物や昆虫が生息しやすいように巣となる場所を人工的に作った場所です。
ここでは、子供たちの自然体験や勉強会なども開催されていて、自然を取り戻す取り組みにも力を入れているのが印象的でした。
墓苑を契約するオーナーは生前契約が多く、自分たちで森を作りながら、将来はその地で眠りたいと願っているそうです。自然体験施設のような、ちょっと違ったアプローチを感じられる施設です。
森の墓苑を後に、さらに南へ進むと、城下町の風情が残る大多喜町に到着します。メインストリートには古いの建物が並び、内部を見学できる場所もあります。
町の中心部にクルマを停められる公共駐車場があるので、蔵づくりの建造物を見学したり、食事をするのにもちょうどいい場所といえるでしょう。
街中の散歩のお供には、甘い和菓子がおすすめです。こちらは風情ある佇まいの和菓子店「御菓子処 津知家」の最中十万石。あんが溢れんばかりに入っているぜいたくな最中です。名物になっていて、お土産にも人気の商品です。
街につながる橋からは遠くに大多喜城、手前に小湊鉄道の鉄橋が見えます。木々が色づく時期は、お城、鉄道、紅葉のコントラストが楽しめる絶景ポイントとなっています。
大多喜町の近くには養老渓谷があります。街からクルマで20分くらいなので、ここまできたら、足を運んでみたいものです。
大多喜町の東側には、高滝湖から流れる養老川を挟むように、県道81号と小湊鉄道が通っています。川と鉄道の風情ある風景が続き、途中には77万年前の地層チバニアンなどもある場所です。
養老渓谷に着くと渓谷に架かる赤い欄干の養老渓谷観音橋が目に飛び込んできます。温泉に入らなくても、観光用の駐車場がたくさんあるので、街中を散策するのもいいでしょう。
養老渓谷で人気の場所が素掘りの二層式トンネル、向山・共栄トンネル。名前が2つ連なっていますが、ここには2つに重なる上下のトンネルがあるのです。
当初は上部のトンネルだけでしたが、道路整備に伴って、下部の道路が開通し、2階建てのような不思議な光景になっています。
素掘りで作られたトンネルらしく、凸凹の壁が特徴的で、写真にとるとグリーンの発色をすることからSNSなどで人気のスポットになりました。
大多喜町から海へ向かうなら、これまでの景色とは違った光景を楽しみたいものです。そこでおすすめなのが、高秀牧場。こちらも大多喜町からクルマで20分ぐらいの場所です。北海道のような景色が広がり、その景色をみているだけで、心がいやされます。
牧場の美しいエントランスを入っていくと、奥には高秀牧場ミルク工房があり、ミルクの加工品が販売されています。どれも自社牧場でとれた生乳を使って、すべて敷地内で製造されたフレッシュな商品ばかり。
ミルクはもちろんですが、チーズにケーキまでありました。ジェラートは濃厚なミルクの味を堪能できる絶品。広々とした牧草地を眺めながら、ジェラートを口にすれば、ここが東京からクルマで2時間もかからない場所ということ忘れてしまいます。
最後に向かったのは太東崎展望台です。後ろを振り返ると、緑の中に真っ白な太東崎灯台が立っていて、美しい姿を見せてくれます。
海側は長い海岸線が一望できるロケーションです。季節よっては花も楽しめるようで、また時期をずらして訪れたくなる場所でもあります。
湖からスタートして、山を抜け、高原、そして海岸線。いろいろな景色を見せてくれる房総半島でしたが、子供でも大人でも楽しめるスポットが点在しています。
都心からのアクセスもしやすいので、気兼ねなく訪れることができる場所として人気があるのも納得できます。
そんな身近な場所で森を再生して、将来の自然広がる光景に思いをはせる、というのもちょっと夢があるかもしれません。
森の墓苑
〒297-0144 千葉県長生郡長南町市野々815-2
【電車でお越しの方】
JR外房線茂原駅からタクシー25分
【車でお越しの方】
圏央道茂原長南IC、市原鶴舞ICから15分、カーナビ マップコード「130 283 484 *71」で検索